講座「(発達障がい児の)自尊心を高めるためのちょっとした工夫~就労できる人と自尊心の関係~」

2017年には講座をしました。
区の療育に通う発達障がい児のご家族向けの講座です。

講師の依頼はこちらから ⇒ info@monnakaco.com

1年前。就学前のお子さんのご家族に何をお話させて頂こうか悩みましたが、先々の見通しのことは誰しもが気になることではないかとも思いましたので、就労の話を交えることにしました。

成人の自閉症の方の支援に従事している友人や、継続型就労支援の施設長、それから当事者でもある友人に「就学前のご家族に伝えて欲しいことはあるか」とインタビューをしながら内容を決めました。

(講座のパワーポイントより)

「自尊心が大事、自己肯定感が大事」と言われるがなぜ大事なのか(=長い目で見ると就労のためでもある)

「子どもが悪いことをしているのに、なんで怒らないで下さいね」とよく言われるのか(=長い目で見ると就労のためでもある)

などについて、説明させて頂きました。

自尊心を高める(むやみに下げないための)日常の中でできて、負担も少なく、お金もかからないちょっとした工夫について、お話しています。

初めての講座ということもあり、基礎的な内容にしました。

「声掛け」のコツもお話しています。

よくネットには言葉の言い換え表なども落ちていますが、

子どもへの声掛けは、理論的にはすべて具体的でポジティブな言い方をすることができます。

「うるさい!」⇒「お口を閉じて、過ごそうね」

「走るな!」⇒「ゆっくり歩こうね」「両方の足の裏を地面に付けてごらん(一回止まってごらん)」

などなど(慣れてしまえば考えなくてもできるようになります)。

理論的には、子どもが社会的に見て悪いことをした場合にも、「怒る」必要はないのです。正しい行動を伝えれば済むのですから。

しかし、生活の中ではそうもいってはいられません。

(講座のパワーポイントより)

そのときには、このように、一発で仕留めるように叱ることをお勧めしてきました。
一発で仕留められなければ、大人側の修行不足。そのときはそこまでで。

(子どもが言うことを聞くまで叱るというのは、避けねばなりません。それは本当に必要で叱っているのではなく、子どもには既に伝えているのに、大人の「子どもが言うことを聞いた」という満足感のために叱ることになってしまう恐れもあるためです)

次回、再びチャレンジしましょう。それまでに、ご家族の心の中の猛獣を育てておいてください。

実は、日ごろから「怒ったり」「叱ったり」されることが多いと、子どもはそれに慣れてしまい、ここぞという危険なときに大人の「叱責」が効きにくくなるというのもあります。

叱るのは、車の走る車道に飛び出してしまいそうな時など、命がかかわるときにできるだけ取っておくと良いでしょう。叱る機会を選り抜くのは子どもの命を守るためです。

講座後のアンケートで、

「子どもの自尊心が下がり切ってしまって、どうにもならなくなってしまったらどうしたら良いですか」

という質問を頂いていました。お答えできていないままですので、ここに書いておきたいと思います。

答えは、もちろん、ケースバイケースです。

けれど、自尊心が下がり切ってどうにもならなくなったときは、きっと、「環境自体を見直す」というチャンスなのだとは思います。

下がり切るというほどでしたら、お子さんは、家の外(例えば、幼稚園や学校)で「できる!」「わかる!」などの気持ちを持てない環境にいらっしゃる可能性があります。
(一般的にみるとどんなに素晴らしい外部であっても、どんなに優秀な先生たちの関わりであっても、その子どもの特性には合わないということは残念ながらあります。それは、カウンセラーもそうです)。

ですから、その子が「できる!」「わかる!」、もしくは、「ここならいれる!」環境に移してあげることです。それは【まずは自尊心を育むことを第一とする】だけで、楽をさせることとは違います。また、移った環境にいるずっと必要もありません(例えば「支援級」⇔「支援学校」に転校した場合などは、越境など含めて制度上、戻りにくい理由がある場合があることもあります。事前に学校や教育委員会と相談されておくとよいです)。お子さんの成長や回復に合わせて、戻ることも視野に入れながら……まず、移ってみる。

例えば、小学生であれば(学校によりますが)、

普通級から、個別級、支援級に移ってみる。取出しの対応を希望する。

1日中、学校にいることがつらければ、決めたコマ数だけ、まずは行くことにする。

週5が多すぎれば、週3などから通ってみる。
(残りの週2は、どこにいるのか問題もありますが……)

学校の規模が大きくて合わないなどの場合は、小さな学校に見学に行ってみる。

などなど……

期待や要求の水準ラインを下げていきます。少し下げ過ぎなくらい下げていき、「できる」ことまみれの環境を作り出します。

それが、今後の成長のためのお子さんのエネルギーになっていきます。

(それはご家族・大人も一緒です。大人も「できない」「できていない」ことを考えるのを一時停止して、「できる」ことを考え、やっていきましょう。1人で難しいときには、ぜひ当オフィスにご相談ください。)

けれど、環境を変化させることにはそもそも(主に)ご家族にエネルギーが必要です。
いろいろな人と交渉したり、あちこち出歩かなければなならなかったり。

ご家族の他のメンバーに説明・説得が必要な場合もあるでしょうし、
地域によってはご近所の目などもあるかもしれません(私の地元では、近所の方が我が家の雨戸の開け閉めをチェックしていて、外出や旅行を把握されていることがありました笑)。

お仕事されている場合には、平日にお休みを取る必要も出て、お勤め先と交渉する必要も出てくるかもしれません。

ですから、「環境を見直すために、家族が休む。英気を養う」ことがまずは重要かもしれません。

例えば、
・家事は最低限にする。
(しばらくの間、ご飯は冷凍食品やコンビニのご飯にする/お米はさとうのごはんにする/部屋が散らかっていても放っておく(命にはかかわりません)/洗濯物を貯めて、ダイソーでパンツを買う/などなど)
・子どもの世話も最低限にする。
命と健康の保証と、最低限の衣食住を確保すれば良しとする。
(宿題はやらなくても良いことにする/学校の道具を忘れても、子ども自身でなんとかしてもらう(なんとか調達してくれ!と祈る)/習い事はお休みにする/などなど)

家族が休むことで、ゆとりができると家の外では依然として「できる」が少なくても、家の中での実は「できている」に気づき、「できる」を増やしてあげることもできるかもしれません。

 

これは、小話ですが、

私は、10年以上こういった仕事をしていますけれど「どうにもならないときに学校や会社を休んで更にどうにもならなくなってしまった」という話は実はあまり聞きません。むしろ、休まずに無理をして、倒れてしまった人をたくさん知っています。

(とてつもない進学校の小学校に通っていて、絶対に国際的な研究者や大金持ちや天才宇宙飛行士になりたいなどあれば、また別かもしれませんが……取り返しがつかないことというのは現実的にはあまりありません)

少し無理をして、勇気をもって休んでみるのもひとつです。

休んで、少し余裕が出て来たら、園や学校、相談機関に相談に行くことはお勧めします。お子さんが休むことに飽きて、自然とまたどこかに通いたくなるように、専門家に手伝ってもらうと復帰がスムーズでしょう。

家庭は、ある種の密室でもありますから、煮詰まってしまうことはよくあることです。密室でのことだから外からは見えにくく、多くの人は知らないだけで、本当によくあります。

 

家の外でも、中でも、身動きが取れなくなった時、
どうしても子どもと一時的に離れないと気を休めることができないとき、

江東区であれば、

「こどもショートステイ」事業

の利用を申請してみるのはどうでしょうか。
対象児童に該当すればになりますが、

(6)育児疲れ、育児不安等により児童の養育が困難となった場合

の要件には当たるだろうと思います。

ぜひ、江東区南砂子ども家庭支援センター に問い合わせてみて下さい。

お金もかかりますし、お泊りですので心理的なハードルもあるだろうと思いますが、仕事やご家族の病気、冠婚葬祭などで一時的に養育ができなくなった場合の練習と思って、利用されてみてもきっと良いでしょう。

愛の手帳をお持ちのお子さんの場合は、

障害者総合支援法の「短期入所」

のサービスに申し込めるかもしれません。

こちらは 障害支援課 に問い合わせてみて下さい。

どちらも「今すぐ」は難しいこともありますから、
必要そうな場合には、問い合わせだけでも早め早めをおすすめします。
書類も何枚かありますから余力のあるうちに。

まず休むこと。

それから、その休みを有効に使って下さい。

もしも、上記のような状態で「何から考えたら良いか……」というときにも、ぜひ当オフィスに一度、ご相談ください。

状況とお気持ちを整理して、具体的にどう動いていくか検討するお手伝いをさせて頂きます。また、少しでも気が休まる時間になるように、お話を伺わせて頂きます。

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