演劇現場におけるリスペクトトレーニング・ハラスメント防止研修の感想

株式会社momocan制作の作品で実施した、リスペクトトレーニング・ハラスメント防止研修の感想をいただきました。

(主宰・作・演出)
・実際受けてみてどうだったか

 今回行ったリスペクト研修に関しては、まずは本当にやってよかったという感想です。

 そもそも出演者を集めた段階では、ハラスメントをするような人はいないから、自分さえ気を付ければ大丈夫という思いもどこかにあったのですが、今はその決めつけ自体がよくなかったと反省しています。

 研修を入れることで、ハラスメントが許されない現場だと意識してもらえればそれ自体が防波堤になるのでいいくらいに考えていたのですが、おのおのの考え方などを知れたのもよかったと思います。

 一番強く感じたのは、出演者の一人が、「演劇や映像の業界はそういう世界だから絶対になくならない」と強く思っていたことを知れたことで、もしもこの研修なしに、稽古場などでハラスメントに対する意見を交換する機会があったとして、仮にその場で出演者と話したら、「その考え方は危ない」と否定するか、「この人にはなにを言ってもダメだ」と諦めるかしていたと思います。

 それが実際研修の場で、露木さんが「その意識は否定しないけど、加害者にはならないようにした方がいい」といった旨のことを言ってくださり、たしかにそうだ、ハラスメント自体をなくすのが難しいのなら、そこを一時目的とするべきだと感じました。考え方を変えるのは難しいけど、加害者になりたいと思っている人は少ないと思うので、その落としどころを自分の中に持てたのはすごくよかったと思います。
 

・その後の稽古への効果

 その後の実際の創作過程では、みんな驚くほどたくさんの意見を出してくれて、それに関してはもしかするとこの研修の機会がなくても出してくれたかもしれませんが、あの場でしっかりと「自由に意見を出してほしい」と明言できたことは大きいと思います。

 もしも研修の時間がとれなかったとしても、どういう作品にしたいかだけでなく、「どういう現場にしたいか」という思いを最初に伝えるのは大切なことだと感じました。

 また研修で、「人が話しているときは遮らずに最後まで聞く」というルールを提示していただいたおかげか、意見を出している際に誰かが話を盗んで話出すこともなかったように感じ、話せば聞いてもらえるという空気感が稽古場に蔓延したことで、今まで以上に話す人は増えてくれたとも思います。

(制作)
・トレーニングを受けての感想

 今回のトレーニングを受けて、本当に絶対の解決策なんて無いのだと思いました。でも、このようなトレーニングをすることで、自分とは違う考え方を知ることができて、ハラスメントについて日常的に意識するようになりました。いろんな人がいるということを知ることがとても大切だと思いました。

・受けてからの稽古への影響

 気づいたことをおかしいくらいに突っかかって口に出すのはどうかと思いますが、今回の稽古場のみではなく今後他の稽古や仕事現場でも気にするのはいいことだと思うので各々生かしてほしいなと思います。

(プロデューサー・制作)

まず、これまでなんとなくストレスを感じながら進めていた「摩擦」について
創作現場では「必ず起きるもの」として認識することで対策の意識を持つことができました。
最初に顔合わせをするときに、初めましての方もこれまで付き合いがあった方も仕事のスタンスやその人の性格・性質を自己申告の形で知ることができ
例えば人が「イライラ」しているときの原因や対処方法をその人の「トリセツ(取扱説明書)」として初めに知ることができたことはありがたかったです。

逆も然り、体調や状況において、自分が「しんどいな」「無理だな」「いまは対応できないな」という意思表示(人に理解してもらうこと)も時には必要で仕事としてもちろん放棄や拒否するつもりはないし進める意識はある上で「いつなら対応できるか」「どうしたら対応できるか」を相手に伝えやすくなりました。

稽古場では、みんなが発言を恐れることなく作品をよりよくするために意見を言い合えていたと思います。

「ハラスメント誓約書」を読んで署名して終わりでは根本的な防止・解決にはならないと思っていて、何がハラスメントなのかの理解・共通認識と、この現場でまず「摩擦をなくすように意識を変えること」そして「起きた時にどうするか」を示すこと。
それを実践していければ、「誰かが我慢する現場」「誰かの犠牲の上に成り立つ現場」を少しずつなくしていけるのではと思いました。