「絵本の読み聞かせをしたらと言われることが辛い」
相談の中でよく伺う苦しみの一つです。
大丈夫な人には、何が辛いのかまるでわからないこの苦しみたち……
ですから相談の場以外では言いづらい苦しみでもあります。
子どもにも個性があるように、大人にも親にも個性はあります。
1~2歳のお子さんのご家族
うちの子は、まわりの子と比べて引っ込み思案なところがあって公園や子育て広場などでも積極的に誰かに話しかけたりはしません。けれど、私もパートナーも無口なタイプなので「こんなもんだな」と思っていました。それに、言える言葉は数個ですが、生活で困ることもありません。
最近、保健師さんや保育園の保育士さん、それから先輩のパパママたちに「読み聞かせをしたら」と言われることが増えました。善意で言ってくれているのはわかっています。
言葉数が少ないのは、事実と言えば事実なので。言い返すこともできませんし……。
でもどうしても読み聞かせが好きじゃないんです。ネットで見ると「読み聞かせ 効果」などいくらでも出てきます。
読み聞かせができない私はダメなのでしょうか。
しなくては、と思えば思う程に辛いんです。
読み聞かせは確か善いものです。ですから、保育園や幼稚園でも読み聞かせの時間がありますし、「読み聞かせ会」などもあります。
特に、一番親密な他者である親が子どもに読み聞かせをする、ということに価値や効果を見出されている方は多いと思います。多くの根拠となるデータもあります。
けれどそれらは「家族が苦しみながら読み聞かせた場合」というデータではないのです。
繰り返しですが、読み聞かせは善いものです。
ですが、少し違う視点から考えてみて下さい。
その効果は本当に「読み聞かせからしか得られない」のでしょうか?
例えば、言語的な刺激や、親子の情緒的な交流、包まれている感覚……これらは絵本を読むことでしか提供できないのでしょうか。
別の方法もあると思います。
もしも読み聞かせが辛いのならば、そちらを探したほうが現実的・建設的です。
世界には、小さい子ども向けの絵本がない国だってあるのですから。
また、これはちょっと業界あるあるでもありますが。
大抵の場合、
保育士さんや児童対象の福祉職さん等は「そもそも子どもが好き」「読み聞かせも歌も好き(それほど抵抗ない)」「保育や子ども関係の仕事がしたい!」という方たちでもあります。だからこそ勉強をされて、その仕事に就かれています。
ですが、子どものご家族はそうとは限りません。
助言を下さる子どもに関わる専門職の方たちと、一般のご家族とは、「そもそものベースの違い」のようなものがあることがあります。
「読み聞かせをするよいいですよー」という助言も、
簡単だし、お手軽なんだからやればいいじゃなーい。
やればご家族だってきっと楽しいし!
本を読むだけで子どもは喜ぶんだし!
それなら家事の合間の5分でもできるし!読み聞かせなら気楽でしょ!
……、のような【極力、ご家族の負担にならないで済むように】【子どもも大人も生活を楽しめるように】という思いやりある提案である可能性もあります。
言葉の数について、ご家族を責めているわけでもきっとありません。
もっと「頑張って言葉を教えて!」「無理くらいして下さい!」と言っているわけでも絶対にありません。
苦手な人にとっては「読み聞かせは本当に辛いこと」。
ですが助言をする人にとっては「自分も楽しめる」「気楽なこと」。
そういった「そもそものベースの違い」を頭に入れながら聞いていくと、あまり傷つかずに情報収集ができて良いかもしれません。
「読み聞かせがどうしても好きになれなくて。手間がかかっても良いので、他の方法はありますか?」と聞いてみるのも一つです。
これは少し繊細なお話になります。
お子さんの状況や個性・性格によりますのであまりはっきりとは言えませんが。
言葉数が少ない場合も、アイコンタクトや表情、指さし、発声などでコミュニケーションが取れている場合には、まずは、そのコミュニケーションをお互いに楽しみながら行い、定着させていくことが大切になってきます。
非言語のコミュニケーション⇒言語のコミュニケーションと段階を踏んでいくことで、結果的に言葉はしっかりと身に付いていきます。
ですから「読み聞かせ読み聞かせ」と思い詰めずに。これまで通りにコミュニケーションを取りながら無理なく暮らすことを第一にされて下さい。
思い詰めないこと。
非常に大切です。
もしもそうなりそうなときには、
ぜひ一度、当オフィスにいらして下さい。
それから、上記の感じとうちの子は違うぞ、というときも。
ぜひ個別でご様子を伺わせて下さい。
また長くなってしまいました。
1.それでも「少しでも気楽に絵本を読むには」、
2.「言葉の発達がゆるやかなとき」
などについても、
また書いていこうと思います。