1~2歳のお子さんのご家族
うちの子、言葉が遅いんです。
アンパンマンとか、にゅーにゅー(牛乳)とか、見たいときとか欲しいときは言えるんですけど。
今思えば話し出したのも遅かったです。
1歳半検診のときも、保健師さんに「指さしできますか」ってめっちゃ聞かれて焦りました。
でも、よく笑うし、育てて困ることもないし、こんなもんかなって思っていました。
私の母も「あんたもそうだったわよ」って言ってたし。
最近、子育て広場に行くようになったら……
他の子がものすごくしゃべるんです。
ぺらぺら大人みたいにしゃべる子もいて。
まだ1歳なのに、色の名前が言えたりとか……
まわりと比べちゃいけないってわかってるんですけど。
……。
うちの子、言葉が遅いでしょうか。どこか通わせた方がいいですか?
私が仕事の中で、とても頻繁に伺う心配事です。
他の子と比べちゃいけない、そんなことわかっていても。
比べちゃいけないと思えば思う程、頭にこびりついてしまったりもきっとしますね。
おしゃべりというのは、「音」ですからよくしゃべる子はにぎやかです。
にぎやかなので、その場にいれば、必然的に目立ちます。
ですからついつい、同じ場にいるおしゃべりな子に目が行くのは当然のことです。
また、他の「できる」「できない」はパッと見ではわかりません。
パッと見で、「あの子はトイレができる」「あの子は上手にスプーンが使える」などは、エスパーでもない限りわかりませんが、
おしゃべりが「できる」かどうかは、パッと見でわかります。
すぐそこでしゃべってますから。
ですからどうしても「おしゃべり」をたくさんしているかどうかは、その子がどんな子かジャッジする道具になりやすい仕組みがあります。
私たち専門職からすれば、おしゃべりかどうかと例えば「利発」「できる子」「発達が順調」「すごい」などは単純には結びつかないのですが……
気にされる(気になる)のは、もっともなことだと思います。
「言葉が遅い」という理由で、知能検査・発達検査をご希望の方はとても多いです。
ですが、実際に検査を取ってみると、言葉の発達は心配ないことの方が比率として多いです。むしろ、他の身体的発達・認知の力の成長と足並みをそろえて、バランスよく育っていたりします。(もちろんそうでないこともありますが、その場合は他の気になるサインもあったりします)
そのことを伝えると、驚かれるご家族は多いです。
人間(養育者)というのはどうやら、言葉の発達だけ、身体や認知の力よりも高く求めやすいところがあるようです。
不思議なものですが、愛情や想いの現われ方の一つなのかもしれませんね。
うちの子はどうなんだろうと思われる場合には知能検査や発達検査を受けてみられるのもお勧めします。
検査は怖いものではないですし、
小さなお子さんでしたら、検査自体は30分~1時間くらいで終わるでしょう。
そこは検査者の腕次第ですが、おおむね子どもは楽しめるようです。
吃音についてのブログにも書きましたが、
就学くらいまでの時期は言葉の発達のふり幅が大きく、子どものおしゃべりの力は不安定になりやすいです。
昨日まで当たり前のように言っていたのに、いつの間にかこの言葉を言わなくなった、なんてこともよくあります。
また、更に、3歳半くらいまでの時期は発達の個人差が大きい時期です。
言葉の発達については(医師や専門職から指摘がなければ)、多くの場合はあまり気にせずに見守っていかれると良いと思います。
言葉でなくとも、ある程度のコミュニケーションが取れれば充分、良し、です。
言葉の発達がスロースタータータイプの子どももいます。
そのタイプの子どもは、頭の中に言葉を充分に溜めてから、バーッとしゃべりだしたりします。(職場に、①やりながら仕事を覚えていくタイプの人と、②完全に理解をしてからやりだすタイプの人がいるようなものです。スロースタータータイプは②。)
子どもがペラペラとは話さなくても「脳みその中に言葉を貯めてあげよう」という気持ちで、心持ち多めに話しかけてあげるのは良いことと思います。あまり「話せるようになれよ」と念はこめず、ついでくらいの気持ちでされると良いでしょう。
とはいえ、一つだけ、私も心配に思うことはあります。
それは、「言葉の発達がゆっくりだなー」と思っていたら、じつは「音がよく聞こえていなかった」という場合です。
子どもは音を聞くことで脳みそを刺激し、脳みその音を聞く部分、言葉の意味を理解する部分などを育てていきます。
ですので、「音がよく聞こえていない」場合に、脳のその部分が育ちにくくなる場合もあるそうです。
(ケースバイケースと思いますし、その部分が育ちにくくとも様々な方法でフォローしていくこともできるだろうと思いますが、早めに気付けるのなら、気付いて損もないでしょう)
もしも、大人でも驚いてしまうくらい大きな音に、絶対に反応しない(泣かない)場合などは、検診のついでなどに医師に相談されることをお勧めします。
声やガラガラなどの玩具の音に反応しない、などでしたら「まだその音に興味がない」だけという場合もあります。