たとえばこんな相談を(吃音篇)

小さなお子さんの「言葉」についてのご相談は、
発達相談の中で、最も多い相談と言っても過言ではありません。

言葉の発達がゆっくりである(家族の言っていることはわかっているのに!)、
慣れた場所でしかおしゃべりしたがらない、○○が言えない(言わない)、
オーム返しになりやすい、言い間違えが多い、言葉が不明瞭である、

それから「吃音」などなど。

 

そもそも、人間の一生の中でも、就学くらいまでの時期というのは、
言葉の発達のふり幅が大きいです。

ですので、子どものおしゃべりの力も不安定になることは、(ある程度)当然のことでもあります。

幼稚園に通うお子さん(幼児)のご家族

子どもの言葉が出始めたころから、吃音があります。そんなに気にならない時期もあるのですが、気づくと吃音が出ています。

最近、吃音が目立つので、幼稚園の先生からは【吃音の原因がストレスということもあるから】、「叱り過ぎないで下さいね」「お勉強のプレッシャーをかけすぎないでね」「厳しくしすぎないでね」と言われてしまいました。

叱り過ぎてるとは思わないんですが。叱り過ぎなんでしょうか。

これも私が仕事の中でよく聞かせて頂くお話のひとつです。(何百ものご相談をミックスして書いています)
実は昨日(2018年7月14日)、吃音のある高校生を主人公の、

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

という映画が公開されました。都内では新宿武蔵野館で見ることができます。

この映画に関する東京新聞の記事を見つけましたので紹介します。
その記事の中で、国立成育医療研究センターの富里先生が吃音についてこうおっしゃっています。

「吃音は親の教育のせいじゃない。責任を感じてしまう親には、そうじゃないよと伝える。支援はまだ足りていない」

実際の相談の現場では、
吃音の相談には、大まかに3つの悩みがあるように思います。

1.お子さんの吃音自体の悩み、どうしたら良いか

2.吃音が原因でいじめられたり、悪く言われたりするのではという心配

3.家族が悪いのだろうか、という悩みや、責任(罪悪感)、苦しみ

吃音の原因はまだはっきりしてはいません。
ですから心理的なストレスの影響もある場合も否定はできません。
ですが、それを「親の教育」のせいと思い、ご自分を責める必要はないと思います。

小さな子どもの吃音は、半数(半数以上とも言われます)が自然に消えていきます。

「親の教育」が原因ではないけれど、

吃音が、ご自身やご家族の「教育」について振り返るきっかけになったとすれば。

それはそれで、とても大切なことと思います。

何かご家族の心の中に気がかりなことが見つかり、「教育」について変えていきたいと思われることがあるのであれば。当オフィスでは(きっと他の専門職のみなさんも)それを変えていくお手伝いをしたいと思っています。

ご家庭で気を付けることを教えて欲しいとご依頼がある場合には、
お子さんの性格や状態によって違いますが、

1.話すことを急かさない

2.わざわざ言い直しをさせない

3.(お子さんの性格にもよります。逆にお子さんが気をつかわない範囲で。そしてわざとらしくない範囲で)お子さんがそうしたいときに、言葉を真似て話しやすいように、気持ちゆっくり目に話すようにする。

という3点を伝えることは多いです。
それをすれば「すぐに治る」わけではないのですが。「私は早口だし、会話もテンポ重視だな~」と思われる場合は、遅めテンポの会話も試してみられると良いかもしれません(「沈黙も悪くないな~」など、ご自分の意外な一面も発見できるかも)。

基本的には、あまり気にせずに過ごされることをお勧めします。

追加のブログがあります。こちらもぜひご参照ください。

すでに発達相談や医療受診を考えていらっしゃる方で、
子どもの吃音が現われたり、消失したりを繰り返す場合には、

いつくらいから現れて、
いつくらいに消えたか、

メモをされておくと役に立つことがあります。(「そういえば最近はないな~」などのタイミングで。ふと気づいたタイミングでOKです。)
もしもその周期が、環境が変わるタイミング※、人間関係が変わるタイミング※、園や学校の行事や、家族のイベント(繁忙期で大人も子供も疲れている等)、季節の変わり目(気温や気圧の変化)と連動するようでしたら、それが原因!とまではいかなくとも、お子さんのことを深く知る手掛かりになります。

とはいえ、なきゃだめ!というものでもありませんので。逆にそのメモを作ることがご家族の負担になるようでしたら、メモなしで行きましょう!

※「志乃ちゃん」のように自分の名前を言うことが苦手なお子さんはいます。その場合は、自己紹介や名前を聞かれることが多大なストレスになってしまいます。また、刺激に対しての繊細さがあるお子さんの場合は、新学期等の「わさわさ感」「ルールが決まり切っていない状態」「イレギュラーな行事の多さ(短縮授業など)」で、周囲の想像以上にお辛くなりやすい場合も。

例えば、
吃音に伴う身体の激しい動きや、呼吸のコントロール(息苦しそう…等)などでひどく身体が辛そうな場合、

また、就学後、中学年くらいになって、
お子さん自身が「吃音に対する手立てを知りたい」「トレーニングを受けたい」「思いを伝えられるように、話せるようになりたい」など思われるようになりましたら、

言語聴覚士さんに会いに行くのもおすすめです。(言語聴覚療法)

かかりつけの病院に言語聴覚士がいれば、スムーズですし、
東京都言語聴覚士会のホームページには、言語聴覚士のいる施設が掲載されています。江東区にもいらっしゃいますね!

定期的に通わずとも、言語聴覚士さんに、まずはお子さんの状態を「見立ててもらう」こと自体も大切なことです。

お伝えしたいことが沢山あって、ついつい長くなってしまいました。

お子さんの「言葉」についてのお悩みがあるときには、
当オフィスでもお待ちしております。上記の事がらも含めて、お一人お一人に合わせての支援を考えます。

この東京新聞の記事で、初めて

東大スタタリング

のことを知りました。代表の山田さんの発言。とても大切なことで、感じることが多いです。一言しか載っていないのですが。

お時間ありましたら、ぜひこの記事を読んでみて下さい。すぐ読めます。

志乃ちゃんは自分の名前が言えない」もぜひ。

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